タイ料理というとトムヤムクンやグリーンカレーを想像して「辛い」というイメージがあるかもしれませんが、辛いだけの料理ではないのです。
本来は中国の食文化とインドの香辛料の融合のような形で発展してきた料理のため、辛い中にも甘さや酸味があり、さらに様々なハーブやスパイスの香りが一体となった「辛くて、ほのかに酸味があって、それでいて甘い」複雑でとてもデリケートな、実に洗練された料理なのです。
また、タイ北部とタイ南部では特色が少し異なり、北部やイーサーンは元々タイの中部とは異なる文化圏に属しているので、主食である米には餅米を用い、昆虫などの異なる食材を用いますが、タイ南部はマレー料理の影響をうけており、イスラムカレー風のゲーン・マッサマンなどの南部特有の料理もあります。
しかも、日本でも地域によって味付けが少しずつ違うように、タイでもチェンマイを中心とした北部では薄味、イサーンを中心とした東北部は塩辛く、バンコクを中心とした中部は甘めでマレーシアに隣接した南部は濃味と、日本に通じる所があるのが面白いですね。
しかし、タイ国内のどの地域でも味のベースになっているのは「ナムプラー」という魚からできている魚醤なので、塩辛いだけでなく旨みもふんだんに含んでいます。
日本でも秋田のしょっつるや能登のいしる、香川のいかなご醤油などの魚醤が販売されていますので、それらを味わった事がある方には想像がつきやすいかも知れません。
タイは東南アジアという風土が生んだ豊富な食材に加え、歴史的にも植民地化されなかった事で影響を受ける料理はあったものの一掃される事がありませんでした。
またタイ王朝に使える料理人などの存在が、現在の豊かなタイの食文化を作り上げたと言っても過言ではないと思います。